HAL in ER 子は親を選べない

東京ER・墨東。21:11。
問題なかったのでブログネタですが、HALは3歳を目前に、脳をCTスキャンしました。

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[ N705iμ ]

写真は、CTの結果を待つ間、「グーチョキパーで何作る?」をやっているところ。
アンパンマンごっこで、空を飛んで湖を目指したり、
カニさん(手遊びの父の手)をHALの肩に載せ、
「あ、カニさんが落っこちた!」って落とす遊びをしたり。
夜のERの待合室で、場違いにハイテンションなHAL。
子供は、親を選べないんだと、シミジミ想った、長い夜。

事の起こりは、なんと、父ちゃんがHALを肩車していて、うしろに落としてしまったこと。
肩車して風船で遊んでいて、うっかり。
もちろんHALは大泣き。
頭を強打したようには見えなかったけど、やっぱり心配なので病院へ連れて行くことにしました。
折しも、母ちゃんは病院に泊まり込んでいる日。
ばあちゃんにHALを抱えてもらって、クルマを走らせる。
どこも診療時間は終わった午後7時頃、
夜間診療所へ向かう車中、泣き疲れたHALは眠ってしまう。
ちょうど眠くてぐずる時間帯でした。
この診療所で、僕は病院のたらい回し的な一端を実感することに。

診療所は診療開始までまだ時間があったのですが、
親切な看護婦さんが対応してくれて、
「ここは小児科があるけど、頭を打ったとしたら脳神経外科があるところで、レントゲン撮ってみてもらった方が良いわよ」
と、近くの総合病院の電話番号を教えてもらいました。
早速かけると、いわく「当直医が内科しかいないので、消防署の救急相談センターに対応出来る病院を探してもらうといいですよ」とまた番号を教えてもらう。
そこから十件近く、病院から病院を紹介してもらったり、また看護婦さんに相談したり、さらにまた救急相談センターに聞いたり、あちこちの病院へ電話しまくることに。
いわく「2歳なら、小児科のある所へ」「ウチは小児科があるけど頭を打ってるなら脳神経外科へ」「うちはタダの外科」「当直医が内科1人だけ」「当直医が整形外科」「大人の脳梗塞等なら対応」「先生が重病人に対応中で手が離せない」
こういう事か……。得心。これで1時間近くを費やす。
「ちょっと待ってください、先生に相談します」と待たされ、またここもダメかとあきらめかけたところ「そういうことでしたら対応出来ます。来て下さい!」感謝!

墨東ERにつくと、電話で言われたとおりすでに何人も患者さんがいて待たされることに。
その間、眠りを妨げられたHALは泣きだし、
やっと診察室に入ったときには、異質な雰囲気と病院の先生を目の前に大泣き。
若いドクターが担当でしたが、一生懸命あやしてくれます。
ペンライトで「このピカピカを見て~」と目を見たいのに、顔をそらし、
「手をグーパーグーパーと動かしてみて~」 握り拳をうしろに隠す。
「どこが痛いのかな~?」 頭や背中を触られても、同じテンションで泣き通し。
「(苦笑い)外見は大丈夫そうですが、一応CTを撮ってみましょう。動いて撮れるか判りませんが」

診察室を出たとたんに、ケロっと泣き止むHAL。
「おうちに帰るの?あたし、ジャンプして帰る!」と跳ね回ろうとします。
CTのベットで頭や身体を固定されると、また大泣き。
「そばにいて!」とHALに言われますが、
父ちゃんには両手で頬を押さえて動かないようにして下さい、
って指令を受けているので離れるわけに行きません。
「グルグル回って洗濯機みたいだね-!」
「?」え?そうなの?って一瞬泣き止んで、CTを確認し、また続きを泣く。
で、終わると、またケロッと弾丸トークを始めます。

CTの結果が出るまで、かなり待たされました。
でも、少し眠って体力を回復したHALは、動きっぱなし喋りっぱなし。
さすがにばあちゃんは、それを見てホッとしたのと疲れたのでぐったり。
「ピカピカなんて、自分でできるのに!」って目をパチパチさせてみて、
「グーパー、じゃなくて、チョキとグーならできるのに!」ってグーチョキパーをやって見せて、
こいつ、泣きながら全部話を聞いていやがりました。
そしてあげくに、カニさんを肩に載せて、肩車から落ちちゃったごっこを始めるわけです。
まわりに患者さんが増えてきて雰囲気がどんどん重くなっていくのに、
HALはどんどんウルサくなって行くので、気を使って遊びに付き合っていると、
「あたし、父ちゃんスキかもー!」って抱きついてきます。

肩車から落とす、どうしようもない親なのに、子供って……
「お話聞くんでしょ?まだ?」 先生に会いに行くことを要求するHAL。

やっと若い担当医に会える時間がくる。
液晶ディスプレイに、脳の断層写真。HALの頭の中だよ。って教えると、
「HALちゃんの目は?鼻は?」弾丸トークをぶちかまし、
先生の説明が聞き取れないほど。
「どこも出血したところはありませんから、大丈夫ですよ」 先生も苦笑するしかありません。
医師不足、医師の超過勤務が問題になっているこのご時世、救急の現場で
DQNな(人騒がせな)父子になってしまいました。猛省。
ちなみに、小さいHALの頭蓋骨の両脇に、5つずつ白い楕円。
父の指も一緒に輪切りに撮影されたわけです。
ある意味、父子の肖像でした。(さすがにそれを携帯で写してくることは思いも付かなかった)

夜11時に、にぎやかに帰宅し、大人達はやっと夕飯、
HALも腹が減ったそうで二度目の夕飯。
一息ついて、布団に潜り込むも、興奮したHALはなかなか寝付けない。
で、子守歌を歌ってあげる。
ちなみに、僕は自他共に認める音痴です。
そして、曲がうろ覚えの子守歌を歌う訳なので、相当ヒドいはずなのですが、
歌いやめると、
「もっと歌って」
で同じ所をグルグル歌っていると、
それで本当に寝付くのです。

こんな男でも、この子のにとっては親なんだなぁ。

後日談。
「肩車して風船で遊ぼー!」
(!!!こいつ懲りてないのか!?)
「でも、足はちゃんと持っててね-!!」
「……。はい。わかりました」

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Comments

“HAL in ER 子は親を選べない” への6件のフィードバック

  1. 何事もなかったから言えることだけど
    貴重な経験しましたね。
    昨今の医師事情をひょんなことで実感したわけですね。

  2. まさ吉

    ドキドキしながら読みました。
    子供を自転車に乗せて怪我をさせたりスキーで怪我をさせたりとか、遊んであげるにはリスクが付きまといます。かといって家の中に閉じ込めるわけにもいかず。何も無く無事に育つのは奇跡に近いかも。とはいえ、怪我無くてホントに良かった~。

  3. コメントありがとうございます。
    ご心配をおかけしました。
    完全な親の不注意で、経験しなくて良いことを……何も言えませんね。
    アホな親を選べない、医師事情、遊びのリスク、
    子供の寝姿を見て、ホント、生きてるって奇跡だと想いました。
    その後、ことあるごとに、落としたときの映像がフラッシュバックするようになり、
    そのたびに「ごめんね、ごめんね」とHALに謝るのですが、
    「いいの!いいの! 気にしないで!」
    「もー、忘れて!忘れて!」
    子供に気を使われています。

  4. たかはし

    うちの誰かさんも額を割って救急車に乗ったことがありました。たしかに、わたくしの不注意でした。そのときの呪文は「絶対、大丈夫!」なんと、今もそれで乗り切っております

  5. たかはし

    追記:あ、子供って親を選んで生まれてくるらしーですよ(笑)

  6. たかはし さん コメントありがとうございます。

    親を選んで産まれてきても、
    「あ、失敗した」
    と変更する事が困難なところが気の毒です 😉

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