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満月をまって

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[ E-3 Zuiko Digital 14-54mm F2.8-3.5 ]

「風はみている」ビッグ・ジョーはいった。「だれを信用できるか、ちゃんとしっているんだ」

満月をまって
満月をまって
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今から100年以上前、アメリカのニューヨーク州ハドソンからそれほど遠くない山あいの地方に、かごをつくつて生計をたてる人たちがいました。じょうぶで美しいかごをつくるための技術としずかな情熱は、長い間、父から子へ、こんなふうに伝えられていたのです。木の声をきき、風の歌を編む、かごつくり職人の「こころ」を描いた絵本。バーバラ・クーニー、最後の作品。

酔っぱらって帰ってきて、
子供の枕元にあった絵本を、何とはなしに読んでしまい、
考え込みました。

間接照明の薄暗い部屋に溶け込んでいくような、深い森の絵。
語られる、少年の心の傷と、それを再生する自然と人。

これを、どうやって子供に理解させるんだ?

8才の少年とその両親、あとはふたりの職人だけしかいない、山間のちいさな集落。
山の木からカゴを作り、納屋に収める日々。
道を明るく照らす満月の日だけ、父親はカゴを担ぎ、歩いて遠いハドソンの町に売りに行く。

少年は、一緒に連れて行ってもらえる日を心待ちにしている。
仕事を学び、山の木や花を覚え、認めてもらえる日を待ち続ける。

そして9歳になり、ついに父が同行を許してくれる日が来る。
初めての町、カラフルな町、母への土産話を一生懸命、胸にため込んでいく。
ところが帰り道、山の生活を知らない町の人から、
カゴ作りをバカにする嘲笑を受けてしまう。

カゴ作りに対する敬意を失い、
納屋に積まれた父達の作品を蹴飛ばす。

崩れ落ちても、壊れない、丈夫なカゴ。

風は、おれたちに、かごをつくることをおしえてくれたんだ
風はみている
だれを信用できるか、ちゃんとしっているんだ
父の老友人は、そっと諭す。

少年は初めて、風に認められたいと思った。
父達と同じように、丈夫なカゴを作りたいと思った。
森が少年の名を呼んだ。

僕にとっては、今に至るまでの(けっこう長くなっちゃった)年月と、
自己・他者否定のインドの旅、
肯定・再構成の山歩き、
と言う経験を踏んできたから、この本が身に染みたのだと思う。

この時代に生きてく子供に、物語の構成要素や人物の心の動きの一つ一つが、
説明なしに把握できるのだろうか。
説明したところで、感動は伝わるのだろうか。

いや、読書は「情報の伝達」じゃない。
読む人の「体験」だと思う。
説明は蛇足であり、本人の「体験」を通して、本人が自力で、物語を掴むしかない。
仮に、「カゴ作り」という具体的な生活を知らなくても、
その子の生活の中で、共感を呼ぶ要素があれば、語らずとも理解されるでしょう。

そういうものって、どんなものになるのでしょう。
僕がそのために、HALにして上げられることはなんなんでしょう。

いや、本の読み聞かせ以前に、父親として、この物語のような威厳を子供に見せられるかのほうが、本質的な問題か。
いまだに父親としての自覚がイマイチだなぁ。

また、別の感想。
これは、日本の民話としても、まったく違和感のないことにびっくり。
自然に根ざした人の生き方というのは、
芯は同じなんでしょうね。

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