僕が目指す写真は「表現したい内容が、見る人にちゃんと伝わるもの」です。
スゴくおおざっぱに言えば、商品などの「物撮り」というものに近いのかもしれない。大きいのか小さいのか、
柔らかいのか固いのか、「それが何か」という内容が見る人に明確に伝わってはじめて成功。
で、何を伝えたいかとなると、それはまたスゴくおおざっぱに言うと、「自分」ということになります。まあ、
自分が感じたことや考えたこと、自分が人に言いたいこと、などが「表現したい内容」ということになりますね。
写真は真実を写すもの、とはサラサラ考えていません。伝えるためには演出もありだと思うし、それも表現技術だと思うので、
試行錯誤しながらそうしたノウハウを身につけたいと考えています。
しかしその前に、愕然と直面した事実が。
[ E-1 OM Zuiko 24mm ]
(本がたくさん!、ってことを表現したくてこの構成にしてみました)
なんと、表現したい自分がない。
いつからこんなになってしまったんでしょう。感性は麻痺しちゃってるし、思考はステレオタイプになってるし。
もともと大したセンスもオリジナリティがあったわけじゃないけど、あまりにつまらなすぎる。
で、感性の方は先ず、なるべく色んな写真を意識して見るようにして、ほこりを払おうとしています。写真に限らずなんでもかんでも、
特にビジュアルを意識して感じなくては。
思考の方は、本をたくさん読むようにしました。ボキャブラリィ、語彙の豊富さは思考力に大いに影響すると思います。
言葉はいわば思考の道具。器用な人ならモンキースパナひとつでで自転車一台ばらせるけど、
大小のスパナがそろっている方が分解も組み立ても効率良い。
ナットの角を削ってしまって回せなくなりそこで思考停止ししてしまう可能性も減らせる。先に進みやすい。
僕はもともと本の虫でした。若くてピチピチしていた頃は、テレビを見てる時間なんか1週間で計2時間程度。
休日といったら神田の古本屋街で過ごすのが日課。お金がなかったから新刊1冊買うより、古本でも5冊欲しかった。
これで記憶力が人並みにあったら、かなり博識になったでしょう。でも小学校に上がってすぐに自覚したのが、覚えの悪さ。
みーんな忘れてしまいます。
結婚して本から離れがちになったのが悪かった。みるみる脳が緩んでいく。
でも本が苦手でテレビ大好きの嫁をもらった割りに幸運だったのが、嫁の友達に本好きがけっこういること。
時代小説なんて興味なかったのですが、数年前にたまたま嫁の友達に借りてハマったのが、平岩弓枝の「御宿かわせみ」
新刊も手に入れたので、また貸してもらって一気に読み返してみることに。
途中抜けていた巻があったので、BOOK-OFF で仕入れてきました。
[ E-1 OM Zuiko 24mm ]
この作品を気に入ってるところは、日本語がきれいなところ。
難しい言葉がほとんどないすごくシンプルな文章で読みやすく、それでいて情感がたっぷり。いざ主人公が剣を抜けば、鋭い緊迫感もあるのに。
もう一つは江戸の情景。ちょうど山歩きしていた頃に薦められたので、
四季折々の樹木の描写が物語の起伏になっているところが、自然というものに開眼した自分にヒットしました。
自然というものと都市生活が融合している江戸の情景にあこがれます。
ビジュアルな写真の為に、文字だけの本を読むのもどうかとも思われますが、今の僕には痛切に必要と感じています。
というか、読み出したら止まらない!二日間寝てないです(笑)
そんなわけで、今まで通り過ぎていただけのところでも写真を撮ってみることに。
古隅田川の名残が近所にあるのです。隅田川が江戸湾に近くなるところが大川と呼ばれ、大川端にある一件宿が「御宿かわせみ」
[ E-1 OM Zuiko 24mm ]
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